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2008/07/16

ラスト・ラブレターと言霊

近代生命保険発祥の地であるイギリスでは、生命保険を「ラスト・ラブレター」と表現していたという話は業界では有名です。数理と論理がベースにある金融商品を、情緒的な言葉に置き換えること(というよりは、それをセールスパーソンがセールストークのテクニックに使うこと)に対する批判的な意見もあり、それはそれでもっともだと思うのですが、この「ラスト・ラブレター」という言葉自体は率直に「上手いこと言うな~」と思います。何故なら自分が生命保険に加入しているのも、自分に万が一のことがあったときに家族を路頭に迷わせたくない、安心して暮らして欲しいという思いがあるからであり、ベースは「家族への愛情」だからです。

一方で、日本では生命保険に限らず、保険を「お守り代わりに」なんて言うのをよく耳にします。「ラブレター」と「お守り」だと、やっぱり「ラブレター」の方がロマンチックでいいよな~と個人的には思うのと、よく考えてみると、保険は何かが起こった後にそれによって生じた損害等をカバーするものであり、お守りというのは基本的には災難を未然に避けるためのものなので、保険をお守りと言うのはちょっと違うような気もします・・・

ところで、確かに生命保険も家族へのラブレターなのですが、もっといいのは本当のラスト・ラブレター、というか家族へのメッセージを残しておくことだと思っています。何も正式な遺言でなくてもいいので、家族への想いや、自分がいなくなったあとの諸々のことに関する自分の意向が家族に伝わるようなメッセージを残しておくのです(もちろん、正式な遺言にしておくべきケースもありますが)。

ずいぶん前からそう思って、ラスト・ラブレターを作っておこうと思ってはいるのですが、実際にはまだ全くできていません・・・不精な性格でなかなか取り掛かれないのと、何故だかどこかに何となく心理的な抵抗感があるのです。

そこで思い出したのが井沢元彦氏の著書で読んだ日本人の言霊(コトダマ)信仰。言霊を辞書で調べると「古代日本で、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力。発した言葉どおりの結果を現す力があるとされた。」とあります。この信仰が現代の日本にも強く根付いているというのです。例えば運動会の前日に皆が準備で盛り上がっている時に一人が「明日は雨が降るだろう。」と言う。そして翌日に本当に雨が降ると、「お前があんなことを言ったからだ」と、発言と雨が降ったことに因果関係はないのに非難されてしまう。また結婚式で「別れる」、「切る」、「破れる」、「割れる」といった言葉が避けられたり、受験では「散る」、「落ちる」、「滑る」といった言葉が避けられるのも言霊信仰によるものだそうです(いわゆる「忌み言葉」)。

つまり、自分の中にあった心理的な抵抗感というのはまさしく言霊信仰によるもので、かしこまって「『自分が死んだときには・・・』なんて書いてしまうと、もしかしたら・・・」という無意識の不安、恐怖、抵抗感があったのではないかと思うのです。逆に、保険を「お守り」と言うのも、「お守り」と言うことでそれが本当にお守りになるというまさに言霊信仰の表れなのではないかと。

メンタルの維持やモチベーション向上のために目標を口に出して言ったりするのは別として、言霊なんて非科学的だし、(自分は現実主義なので)イマドキそんなの信じないよ・・・と思っていたのですが、こうしてみると自分の中にも多少なりとも日本古来の言霊思想が影響しているようです。

ちなみに言霊というものが世界共通かというと当然そんなわけはなくて、英語には「言霊」にピッタリ一致する単語はなく、辞書で調べると"traditional belief in the power of words"といった説明文しか出てきません。また教会での結婚式では、「病めるときも」、「悲しみのときも」、「貧しきときも」、「死が二人を分かつまで」といった決して縁起のよくない(でも現実的な)言葉が普通に出てきます。こういったことからも、言霊が日本独特の思想・文化であることがよく分かります(他にも似た思想・文化を持つ国はあるかもしれませんが)。

というわけで、とりとめのない話になってしまいましたが、結論を言うとラスト・ラブレターはいつか書こうと思っています・・・やっぱり現実も大切なので。

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